内閣府が、過去約40年間の日別自殺者数を集計し、発表しました。一番多かったのは9月1日。他も、長期休暇明けに集中するという結果でした。それを受けて、不登校新聞から緊急号外が発行されました。WEBで閲覧(無料)できますので、ぜひご覧ください。
>>学校に行きたくないあなたへ(不登校新聞・緊急号外)
それに関して、記者会見にも参加させていただきました。
また、事後報告になってしまいましたが、本日の「TBS・白熱ライブビビット」では私のインタビューも放映されました。
「リストカットを繰り返していた女性」として紹介され、学校に行かなかったこと、行かないことでどういう心理状態に陥っていったか、ということ。そこからどう回復していったのか、ということをお話ししました。
インタビューでも話していましたが、当時わたしは「みんなが当たり前のようにできている(学校に行く)ことが私にはできない、自分は社会不適合なんだ」と思っていました。(その辺の詳しい話は、昨年行ったひきこもりUX会議のレポートをご覧いただくといいかもしれません)
自分と同じように学校に行っていないひとがいるのか、そういう人がどういう人生を歩んでいるのか、想像できるような、見本になるような人を見つけることができなかった。それは、孤独感を助長させました。
孤独感は、自分を社会からどんどん切り離していきました。社会から切り離されると“生きる意味”がまったくわからなくなりました。出口の見えないトンネルの中にいる気分です。
偶然かわからないですが、スタジオにいるコメンテーターの方は全員、いじめか不登校の経験者とプロフィールに出ていましたね。「学校に行かないと幸せになれない、大人になれない」そんなことはないのだと、そういう番組制作側のメッセージなのかな、と思いました。
自分は自分でいい―
そう思えたら色んなものがスルリと落ちて生きやすくなると実感していますが、そう思うことは、けして簡単でもないとも思っています。
不登校やいじめ問題に限らず「生きていけると思える自信」を持てる社会に、わたしたちの生きる社会はなっているのでしょうか。“自己責任”という言葉が多く使われるようになりましたが、同時にわたしは人間はひとりですべての責任をおって生きていけるのか―とも思います。
哺乳類を並べてみると、人間の肉体的能力値は低いです。頭脳が発達し、社会という形を形成して生きている動物です。末席を切り離すのではなく、ただ“保護する”だけでもなく、人間という生き物として、互いに尊重しあって生きていく―そんな社会であってほしい。
(そうでないから、弱いもの(子ども)から、命を絶たざるを得なくなっていくのかと思うと、悔しい気持ちです。)
不登校新聞の号外には当事者からの声ということで、私もコメント寄せさせていただきました。いろんなひとが、たくさんのひとが関心を持ち、受け止めようとしています。
これが、どこかの誰かに届きますように。
>>学校に行きたくないあなたへ/メッセージ(不登校新聞・緊急号外)
>>9月1日の子どもの自殺に思う 不登校経験者・恩田夏絵
こういったことを取り上げる、メッセージを集めて具現化してくれる不登校新聞に感謝のきもちです。
記者会見は、いっしょにひきこもりUX会議をやっているメンバーでもある、不登校新聞社の石井志昂くんから声かけてもらいました。貴重な機会をありがとう志昂くん。
2度目の1位~指原莉乃の功績とは~
10代をモーニング娘。と共に成長してきたとすると、20代はAKBと共に生きている恩田です。
先週土曜日、6回目のAKB48選抜総選挙が行われました。今年もたくさんのストーリーが垣間見える総選挙でした。谷真理佳の大躍進。武藤十夢、松村香織の選抜入り、見事にリスタートをきった北原りえ。高橋みなみの最後の総選挙。そして指原莉乃1位奪還・・・盛りだくさんでしたね。
2年ぶり、2度目の1位となった指原莉乃(以降、愛を持って指原と呼びます)。
いじめられてひきこもりになり、アイドルに元気づけられて、自分もアイドルになった彼女。
「ブスで貧乳でいいところは少ない」と自分でも言っていたように、指原はヘタレキャラとして注目され、最初のころはバラエティ班として峯岸みなみと共にまだ知名度の低いAKBのTV進出を支えてきたメンバーだったと思います。ヘタレキャラで成り上がり、スキャンダルでAKB48から姉妹グループであるHKT48に完全移籍。(“左遷”とまで言われることでした。)
挫折、失敗、過ち、自分は持ちえない素質・・・色んなところから後ろ指を指されてきたと思いますが、それでも彼女は諦めなかった。その結果だったと思います。
指原は、スピーチでこう語りました。
いじめられて、ひきこもりになって、親に迷惑をかけまくった自分が再び1位になれたこと。「私は落ちこぼれで、選ばれた人間ではありません。全国の落ちこぼれの皆さん、私の1位をどうか自信に変えてください。」
>>スピーチ全文はこちらから
日本には“いろんなダメ”が溢れていて、諦めてしまいそうになります。
失敗したり、道から外れてしまうと「終わった」と割と本気で考える思考は、いまの社会にはたくさん溢れていると感じます。失敗して諦めるどころか、最初から挑戦することすら怖くてできない、そんなこともありますけどそれはこの社会が「失敗を許さない」「失敗したらカッコワルイ」と思わせる社会だから、そうなってきたんじゃないでしょうか。
「チャンスのある未来を!」。
これは今年の、指原の選挙ポスターに書かれていた一言です。
失敗したって、ブスだって、落ちこぼれだって、未来はある。ピンチもチャンスに変えられる。
ただひとつの“正解”じゃなくて、人の数ほど答えはある。
総選挙1位という形で体現したことが指原莉乃の功績だと思います。これはAKB48というグループの中に留まらず、日本社会にとってと言ってもいいんじゃないだろうかと思います。
落ちこぼれの1位がいて、全然うまいコメントできない人もいて、努力は必ず報われると人生をかけて証明しようとする真面目な人がいて、正統派にアイドルを貫こうとする人もいて、塩対応アイドルもいて、踊りも歌もうまくない人がいて、矛盾の中で闘い続ける人がいて・・・アイドルらしからぬアイドルが許される土壌に、AKB48グループの面白さがあります。
探せば探すほど、知れば知るほど、色んなひとが見つかり、認められてゆく48グループは、“多様性”を体現するひとつの“場”であると、思うのです。
社会として指し示すべきことを、ひとりのアイドルが“ひとつのアイドル像”としてステージでTVで表現する。ひとつのアイドルグループという存在が、そういうストーリーを見せるということは、ひとつひとつの反応としてはとても小さいことかもしれませんが、誰かの人生の支えになりうるのだと思います。
そう考えると、“アイドル”というものは、希望をつくりだす素晴らしい仕事だと思います。
チャンスのある未来をつくりだす―それを描いた指原莉乃と、それが育つ箱となった48グループから目が離せません。
ということで、次回は、高橋みなみさんについてお話したいと思います。