10代をモーニング娘。と共に成長してきたとすると、20代はAKBと共に生きている恩田です。
先週土曜日、6回目のAKB48選抜総選挙が行われました。今年もたくさんのストーリーが垣間見える総選挙でした。谷真理佳の大躍進。武藤十夢、松村香織の選抜入り、見事にリスタートをきった北原りえ。高橋みなみの最後の総選挙。そして指原莉乃1位奪還・・・盛りだくさんでしたね。
2年ぶり、2度目の1位となった指原莉乃(以降、愛を持って指原と呼びます)。
いじめられてひきこもりになり、アイドルに元気づけられて、自分もアイドルになった彼女。
「ブスで貧乳でいいところは少ない」と自分でも言っていたように、指原はヘタレキャラとして注目され、最初のころはバラエティ班として峯岸みなみと共にまだ知名度の低いAKBのTV進出を支えてきたメンバーだったと思います。ヘタレキャラで成り上がり、スキャンダルでAKB48から姉妹グループであるHKT48に完全移籍。(“左遷”とまで言われることでした。)
挫折、失敗、過ち、自分は持ちえない素質・・・色んなところから後ろ指を指されてきたと思いますが、それでも彼女は諦めなかった。その結果だったと思います。
指原は、スピーチでこう語りました。
いじめられて、ひきこもりになって、親に迷惑をかけまくった自分が再び1位になれたこと。「私は落ちこぼれで、選ばれた人間ではありません。全国の落ちこぼれの皆さん、私の1位をどうか自信に変えてください。」
>>スピーチ全文はこちらから
日本には“いろんなダメ”が溢れていて、諦めてしまいそうになります。
失敗したり、道から外れてしまうと「終わった」と割と本気で考える思考は、いまの社会にはたくさん溢れていると感じます。失敗して諦めるどころか、最初から挑戦することすら怖くてできない、そんなこともありますけどそれはこの社会が「失敗を許さない」「失敗したらカッコワルイ」と思わせる社会だから、そうなってきたんじゃないでしょうか。
「チャンスのある未来を!」。
これは今年の、指原の選挙ポスターに書かれていた一言です。
失敗したって、ブスだって、落ちこぼれだって、未来はある。ピンチもチャンスに変えられる。
ただひとつの“正解”じゃなくて、人の数ほど答えはある。
総選挙1位という形で体現したことが指原莉乃の功績だと思います。これはAKB48というグループの中に留まらず、日本社会にとってと言ってもいいんじゃないだろうかと思います。
落ちこぼれの1位がいて、全然うまいコメントできない人もいて、努力は必ず報われると人生をかけて証明しようとする真面目な人がいて、正統派にアイドルを貫こうとする人もいて、塩対応アイドルもいて、踊りも歌もうまくない人がいて、矛盾の中で闘い続ける人がいて・・・アイドルらしからぬアイドルが許される土壌に、AKB48グループの面白さがあります。
探せば探すほど、知れば知るほど、色んなひとが見つかり、認められてゆく48グループは、“多様性”を体現するひとつの“場”であると、思うのです。
社会として指し示すべきことを、ひとりのアイドルが“ひとつのアイドル像”としてステージでTVで表現する。ひとつのアイドルグループという存在が、そういうストーリーを見せるということは、ひとつひとつの反応としてはとても小さいことかもしれませんが、誰かの人生の支えになりうるのだと思います。
そう考えると、“アイドル”というものは、希望をつくりだす素晴らしい仕事だと思います。
チャンスのある未来をつくりだす―それを描いた指原莉乃と、それが育つ箱となった48グループから目が離せません。
ということで、次回は、高橋みなみさんについてお話したいと思います。