『不登校』と『学歴』と『幸せ』のバランスを考える

不登校をしていると、『世の中、学歴じゃない!』と言うような励まし?をよくいただきました。勤続10年を迎えた元不登校として思うのは、『学歴や資格はないよりはあったほうがいい』ということでしょうか。
 
ただよく言う『いい大学を出れば幸せになれる』というのは、嘘ではないけれど言葉が足りないなと思います。「いい大学」を出ることはそれ自体が人生のひとつのツールになるということでしかないので、“その先”が見えていないことで人は迷うのではないでしょうか。
 
“その先”とは、自分はなにが好きでなにが嫌いなのか、どういったことが得意なのか、自分のどの部分を社会に活かすことができるのか-ということ。つまり自分という人間を理解できてないと、せっかくのツールも活かしきれないのだと思うのです。
 
だから、『いい大学をでて、“これ”をすることで幸せになれる』。
その“これ”が自分にとってなんなのかを考えることが大事なんだと思います。
(いい大学出ていれば立派なひと、というのも必ずしも正解ではないですね)
 
ときに人生には立ち止まることが必要になるときがきます。
私は、学校という社会のスピードについていくことができずに不登校=立ち止まったわけですが、その速すぎる流れから一度離れ、自分なりに必要なことを蓄積しペースを取り戻すことで、社会の中にもう一度戻ってくることができたのだと思います。
 
私が不登校で得られたことは、自分のペースで物事を考えることで、自分なりの答えや価値観を蓄積することができたということでした。自分の好き/嫌いを理解したということも財産です。得意なことの把握は、職種の選択に繋がりました。ストレスを溜め、自分自身を保てなくなることで人間関係にも物凄く悪影響を及ぼすということを体験しました。そうならなように、自分が持っている特性/習性、思考のクセを把握することで、社会生活の中で自分にとって心地よい、持続可能な環境を整えやすくなりました。
 
“立ち止まること”で“考えること”ができるということ。
考えること、考えて考えて考えるということ。自分という人間はどういう人間なのだと把握することによって自分にとっての『幸せ』とはなんなのかを捉えることができたなら、不登校、恐れるに足らず、だなと思います。

勉強会『学校に行かない生き方』

先日、ピースボート勉強会「学校に行かない生き方~ヒトと違うから世界はおもしろい~」を開催しました。ご来場いただいたみなさんありがとうございました。春から教職に就くひとやグローバルスクール卒業生、なんとなく来たという方まで(笑)、約30名のさまざまな方にお越しいただけたようでありがたく思っています。
>>ピースボートスタッフ岡山くんによるイベントレポートはこちらから
 
タイトルは学校を否定するような感じのものになってしまっていましたが、不登校のメリット/デメリットを自分の生い立ちを使い分析しながら、社会としてどう捉え、学校も含めて子どもたちをどう包括していくのかを考える会になればいいなと思いながらお話させてもらいました。
 
私にとっての人生のターニングポイントは定時制高校への進学とピースボートの船旅だったわけで、それに共通するのは『物理的に多種多様なひとが集まる環境』だということ。公的教育機関の中で居場所をなくした私には、そういった多様な環境の中で社会経験を積むことが効果的だった-ということでした。
 
子どもの世界は狭いです。家庭、地域、学校など自分の力で選択することは難しいです。だからこそ、学校そのものがストライクゾーンの広い環境であること、そして学校ではない選択肢も当たり前に手の届く環境が増えることが必要だと思います。
そして、社会が誰かにとっての“孤立”を生む仕組みになっていないか、不登校に限らず常に意識し確認していくのが大人の責任なのだと思います-というようなことをお話した1時間でした。
 
 
最後に、会の中でも触れた世界をめぐる船の上の教員養成プログラム『Global Teachers College』を紹介します。地球一周したことのある先生のストライクゾーンって広くなると思うのです。そんな先生のいる学校(とまで言わずともクラスでも)のストライクゾーンも広くなると思うのです。教員志望向けの新しいプログラムです。ぜひ。
>>詳細はこちらをご覧ください