船内生活~80回クルーズ~

ちょっと前のレポートになりますが、
みほちゃんがまたレポートを送ってくれました。
どうぞ!
 
* * *
 
もう地球半周過ぎました。
寄港地ラッシュが終わり、大西洋を航海しています。洋上の生活も最近忙しくなってきました。今までの自分だったらやらなかったようなことを、船の中でどんどん挑戦しています。
 
私はイタリアを過ぎたくらいから、“船内盛り上げ隊”っていうまだ10人ちょっとの、集まりに誘ってもらって仲間に入れてもらいました。
 
“船内盛り上げ隊”とは、出航一ヶ月ちょっと経って、船内にグループができてて、それに対して疑問を持ったり、若者と年輩の人たちとの境界線をなくしたい、とか、友だち?はたくさんできたけど、上っ面だけの関係が多いことに疑問を持ったり、もっと深い関係にしたい、などなど感じていて、それを船内みんなを巻き込みたいと思ってる人たちが集まっているところです。
 
船内盛り上げ隊に入るまで、私の船内生活は、何をしていいかわからなくなって、グローバルスクール(以下、GS)スペースにいる時間が多かったりでした。だけど船内盛り上げ隊に入ってから、不安や悩みもたくさんあるけど、私の船内生活はワクワクしています。
 
やっていることは、毎日『自主企画*1』を継続して複数入れて、そこでつながったり、盛り上げ隊のメンバーが分散してその日の普段いかない自主企画に行って、年輩の人やまだ話したことのない人ともつながって、盛り上げ隊の自主企画に来てもらって、仲良くなろうという作戦があります。
 
グローバルスクール
実際にやった自主企画は(まだ始めたばかりなので2個しかないですが)、「正座大会」と「キプロス後合流の人集まれ」。「正座大会」は、30分くらいみんなで正座してしゃべって仲良くなって、その後歩いてつっつきあって同じ痺れと痛みを共有しました。
 
グローバルスクール
その後、仲良くなった人と続けて「キプロス後合流の人集まれ」に来てもらって、キプロス後合流した人*2とつながりました。
 
やっぱりどうしてもキプロス後に合流した人たち同士でまとまったりしているので、そこで繋がれてうれしかったです。
 
ミーティングで、どうしたら人に来てもらえるか、とか、どんなことをしたいとかをみんなで一緒に考えている時間が好きです。
GS以外にもコミュニティができたことがとても嬉しいです。
 
 
あと、この前、初めての水パ*3に挑戦。
伊藤千尋さんの水パになりました。千尋さんは朝日新聞の記者をしていて、中南米やジプシーを取材されていました。
船に乗る前に東京ピーセン*4で千尋さんの話を聞く機会があり、千尋さんの話にとても魅力を感じました。千尋さんの話はとてもワクワクします。小さいことも大きいことも自分に制限をかけてできないと思っていたこともできるんじゃないかと、そう思わせてくれる力があります。
 
私は今まで大勢の前で話すのは『自分なんか申し訳ない、出来ない』って思っていたけど、千尋さんの講演で18年間で初めて300人くらいの前で司会をやりました。
そして司会の続きで急にちょっと千尋さんと話しをすることになり、自分の思いを話すことができて、みんなの前で自分の思っていたことを発信するっていいなと思いました。
 
グローバルスクール
終わった後、いろんな人にほめてもらって、ほんのちょっと自信がつきました。
ほめられるってすごく慣れてなくてなんか変な感じだけどとっても嬉しくて自然とにやけてしまいます(笑)
 
話が変わりますが、最近GSスペースに来るGS生がなんだか少ない気がします。
(自分が行く時間が減ったからかもしれないけど)
みんな船内で自分のやりたいことや自分の時間を見つけて、充実した時間を過ごしているんだろうなと思います。
それでも疲れた時に帰ってこれる居場所があるっていいな、と思いました。
 
* * * おわり * * *
 
 
*1自主企画
=参加者自身が”講師”となって立案~運営までを行うことのできる企画。
 
*2キプロス後合流
=キプロスから乗船した人たちのこと。
 
*3水パ
=水先案内人パートナーの略
水先案内人(洋上講師)の方と共に企画作りをしたい!と集まった参加者のこと。公募なので、やりたい人は誰でも関わることが可能。
 
*4東京ピーセン
=ピースボートセンター東京の略
 
 
 
恩田のつぶやき
 
たくさんのヒトが乗船している船は、出会いの連続です。
船旅というのは非日常を楽しむもの、なんて言うこともありますが、乗っているほうからしたら、その日々は日常です。
朝起きて、ご飯食べて、あの企画に出て、デッキで昼寝して・・・なにかに集中して深めることもありますし、時には固定化して深まるでもなく広がるでもなくなることもあります。
 
そういうときに『じゃあ今日はこうしてみよう』とか、『今日のランチで一緒になった人ははじめて喋ったけどなんだか気が合うな』とか、思い立ったらすぐ行動できるのは、船旅が秘めている可能性だと私は思います。
 
非日常な日常の中で、自分を磨くタイミングはたくさんあるんだなーと、みほのレポートを読んでいるとよく思います。嬉しいことです。また、みほはそのタイミングをキャッチする力の強い子だとも思います。みほの一周はどんな一周になるんでしょうか。あと10日ほどで帰航です!(早い!)
最後まで、良い旅になりますように。
 
今週は、更新多めになる予感ですよ。(予告)

すごい映画を観た。

先週末、ひきこもり映画の上映会にお邪魔してきました。
 



 
―ドキュメンタリー映画「home」上映会―
 
映画学校に通っていた小林貴裕さんが、引きこもり歴7年の兄・博和さんを追ったドキュメンタリー映画。追った、というか、カメラを通して向き合った・・というのがきっと正しいのだと思います。
2001年に上映されて、当時話題になったそうですよ。
(検索すると当時の記事が、結構ヒットします。)
 
すごく、重苦しい映画でした。
 
家を出た父、
そんな父と暮らす、同じく家を出た弟、
暴力をふるう引きこもり兄、
うつ病の母、
 
そしてそんなhomeをどうにかしようとカメラを片手に戻ってきた弟。
 
潔癖症なお兄さん、母に当たり散らすお兄さん、そんなお兄さんを怖がるお母さん、怖くて家で寝れないと、車の中で寝ようとするお母さん・・・
 
映し出されたその家族の形は、
よその家のそれなんだけど、
どこか自分のhomeを映し出しているような気がして、
なんだかヒリヒリしました。
 
カメラという道具を盾とし、時に剣として使って、一度離れた実家・家族に踏み込んでいくことで、停滞していた家庭の中に、
触れ合いが、
関心が、
会話が生まれ、
そうすることで停滞していたものが流れ、家族の形が変わっていく。
 
この社会問題の根本的な部分を映し出しているような気がしたのです。
それは、誰も彼もがカメラを持ち込むことで救われるということではなくて。
大事なのは結局、『向き合うこと』『言葉を交わすこと』なのである。ということなんじゃないかなーと、思わせる映画でした。
 
精神科医の齋藤 環さんがこの映画に寄せていた言葉が印象的でした。
『癒しになる映画はたくさんあるけれど、この映画は“治療”を行った』(うろ覚えです)
観賞後、まさに・・・と思ったわけです。
 
 
いやー、
 
すごい映画を観た。
 
 
 
個人的には、弟にズケズケと自室に入られてもちょいドンッして追い出して、また来て押し倒して、でも終いに受け入れて・・・をできるお兄さんの理解力というか、寛容さというかが、すごいなーと思いました。もしこれが自分だったら・・・ガクブルと震える身体を抱えながら鑑賞。お兄様すごいです。(尊敬)
 
 
DVD化されていないのが非常に残念。
 
貴裕さん!是非DVD化してください!