元不登校・ひきこもり経験者が発案した洋上フリースクール ピースボートグローバルスクール

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岡本康平さん(参加当時19歳・愛知県)
第70回クルーズ・第一期卒業(2010年)

自分を理解してくれる人を見つけたかったのではなく
自分自身を理解してあげたかったのです

 学校に通うことの意味を見出せなかったのです。心より先に身体が拒否反応を示しました。高校1年生の終盤ころから、学校を休みがちになり、そのままなし崩しに学校を中退、それ以来3年以上も家に引きこもっていました。
 それまでの交友関係はすべて途絶えました。頼るべき友人も、頼ることのできる家族もおらず、誰にも苦しみをわかってもらえない、心にぽっかりと空いた穴を、一日中ひたすらゲームや読書に熱中することでかろうじて埋めていく日々。
 周りの人間がどうしようもなく怖かったのです。自分の殻にこもって、誰ともうわべだけの会話しかできませんでした。「ひきこもり」という偏見の目で見られることを何よりも恐れてビクビクと生きていました。どうにかして、この世にたった一人でもいいから自分を理解してくれる人を見つけたい。藁にもすがる思いでした。
 グローバルスクールの存在を知った時、直観的に「これだ」と思いました。
 それは正しい直観でした。乗船後の僕には、自分は一生涯この人たちと付き合っていくんだとさえ覚悟できる、かけがえのない人たちがいました。みんなで同じ釜の飯を食うことも、過去の人生の打ち明け話をすることも、切実な悩みを相談することも、他愛もないことで談笑することも、すべてがかけがえのない出来事でした。
 乗船後、僕はまた家に引きこもるようになりました。その時まだ一歩を踏み出す勇気がなかったのです。
 けれども僕はもう孤独ではありませんでした。自分の弱さを受け容れられる、力強さを手に入れたのです。そして、本当は僕は自分を理解してくれる人を見つけたかったのではなく自分自身を理解してあげたかったのです。

岡本康平さんからのメッセージ
 親、兄弟、友人、上司や同僚、学校の先生、街ですれ違う人々──あなたがもし、あなたの周りの「社会」に疲れているなら船に乗る価値はあります。
 もし、自分自身を受け入れられなかったとしても、ゆるやかに受け入れてくれる居場所が船にはあります。まるでひとつの村のように密度の濃い船内には、不思議な人間関係──独特の「社会」があります。
 船の中では見知らぬ人どうしが挨拶を交わし、今日始めて会った人と明日には知己の仲になれます。一生の友人を見つける人も少なくありません。

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